関数の積分

今回の授業では一次元の関数の積分を考えます。

復習

Wikipediaの定積分の定義を引用し、積分の概念を復習します。

実数直線上の区間 $[a, b]$ 上で定義される実変数 $x$ の関数 $f$ の定積分 $$\int_a^b f(x)~dx$$ は、略式的に言えば $f$ のグラフと $x$軸、および $x = a$ と $x = b$ で囲まれる $xy$平面の領域の符号付面積として定義される。

定積分のイメージ

現代的な積分の概念にはリーマン積分、ルベーグ積分などがあります。今回の授業ではリーマン積分の定義を考察します。

1. 積分の概念

初めに、$x=0$ から $x=1$ までの間で $f(x)=\sqrt{x}+1$ によって与えられる曲線 $y=f(x)$ を考え、 「$0$ から $1$ までの区間において $f$ の下にある領域の面積はいくらか」 という問いを考えます。この(未知の)面積を $f$ の積分と呼んで

$$\int_{0}^{1}{\sqrt {x}}+1~ dx $$

で書き表します。

積分の例

ニュートンとライプニッツが提案した微分積分学の基本定理(17世紀)によりますと、上記の積分を$f(x)$の原始関数$F(x)=\frac{2}{3}x^{3/2}+x$を利用することで算出できます。

$$\int_{0}^{1}{\sqrt {x}}+1 ~ dx = F(1) - F(0) = \frac{5}{3}$$

微分積分学の基本定理が発見されるまで、積分は微分とは関係ない「面積」という概念で理解されていました。

2. 面積の近似計算

$f(x)=\sqrt{x}+1$の$[0,1]$における積分の近似方法を考えます。

2.1 準備:グラフを描く

まず、曲線$y=f(x)$のグラフを描きます。 <!-- %関数fを定義する function value=f(x) value = sqrt(x)+1; end

% グラフを描くOctaveの関数を定義します。 function draw_f() x=0:0.001:1; y=f(x); plot(x,y,'r-'); hold on %現在グラフの上に新しいグラフを描く(重ねて) grid on %grid を描く plot(0,0) %原点を描く axis([0, 1.2, 0, 2.2], "square"); %x軸の範囲を[0,1.2]、y軸の範囲を[0,2.2]にする。 end -->

2.2 準備:ブロックを描く

fill命令によって、長方形領域(ブロック)を緑色で塗りつぶします。

塗りつぶしの方法

fillを使って、いくつかの点が囲んでいる範囲を指定の色と透過率で塗りつぶします。

使い方: fill(x座標のリスト, y座標のリスト, 色, 透過率)

上記のコードをコンパクトにするために、ブロックを塗りつぶす関数を定義します。

積分範囲を$[0,0.5]$と$[0.5,1]$に分けて、ブロックを描きます。

2.3 面積の計算法

ブロックの面積によって、積分値の上界と下界を算出することができます。

$[0,1]$の分割点$x=0,0.5,1$におけるブロックの面積を検討してみます。このとき、各小区間の幅は$h=0.5$です。

演習1

分割点が$x=0,0.5,1$の場合に、 青色のブロックの面積$S1$と緑色のブロックの面積$S2$を計算しなさい。

演習2

$[0,1]$の$10$等分割を考えます。積分領域をカバーする緑色のブロックと、積分領域に囲まれる青色のブロックを描いてみます。

描いた緑色のブロックの面積$S2$と青色のブロックの面積$S1$を計算しなさい。それぞれ、積分値の上界と下界になります。

演習3 (オプション)

積分値の上界($S2$)と下界($S1$)の差が$0.01$以下に収まるように、$[0,1]$の分割点を調整して、$S1$, $S2$を計算してください。即ち、計算される$S1$, $S2$については,$S2-S1\leq 0.01$を満たすことが要求されています。

3. 一般的な関数の積分

演習4 (オプション)

この授業で紹介した方法を利用して、以下の関数の$[0,1]$における積分の近似値を計算してみてください。 分割の点で関数の値が発散する場合、分割の小区間の中点を使って計算してください。

注意:

関数の積分の上界と下界を得るためには、関数の単調性が大切です。以下の3番目と4番目の関数について、 分割の各小区間$[x_i,x_{i+1}]$上での関数の単調性を確保するために、区間の分割に工夫が必要です。

関数の単調性を調べるのが難しい場合、与えられる分割におけるリーマン和を計算して、リーマン和が収束しているかどうかを考察してください。

$$f_1(x)=\frac{1}{\sqrt{x}}$$$$f_2(x)=\frac{1}{x}$$$$f_3(x)=x\sin \frac{1}{x}$$$$f_4(x)=\sin \frac{1}{x}$$

リーマン和

分割$x_0=0 < x_1 <x_2 < \cdots < x_n=1$に対して、$t_i$を$[x_i,x_{i+1}]$の中に存在する点とします。例えば、$t_i=0.5*(x_i+x_{i+1})$。この場合、リーマン和は以下のように計算できます。 $$ \sum^{n-1}_{i=0} f(t_i) (x_{i+1} - x_{i} ) $$

(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E7%A9%8D%E5%88%86

参考

積分の厳密な定義(リーマン積分)

微分積分の授業で学んだリーマン積分は積分を厳密に定義します。その詳細は教科書またはWikipediaを参照してください。